先日、年商3億円の建設業の社長からこんな相談を受けました。

「個人でNISAをやっているんですが、もっと税金を減らす方法はないですか?」

NISAはもちろん悪い選択肢ではありません。でも正直に言うと、法人を持っている社長が使える節税手段の中では、NISAは優先順位がかなり低い部類に入ります。

同じ「投資」でも、社長が使う器によって税負担が2〜3倍変わってきます。今回は、実際によく相談される投資手段を税負担の軽さでランキング形式でご紹介します。

第3位:iDeCo+小規模企業共済の個人コンボ

まず個人側から使える定番の組み合わせです。

役員がiDeCoに加入すると月2.3万円、年間27.6万円を全額所得控除にできます。さらに小規模企業共済を月7万円フルで積み立てると、年間84万円の所得控除が加わります。合わせると年間で111万円以上が所得から丸ごと消えるわけです。

所得税と住民税の合計税率が40%前後の社長なら、それだけで年間44万円超の節税になります。しかも老後の積立になるので、老後資金と節税が同時に進む点が魅力です。

ただし、これはあくまで「個人側」の話。法人のお金を動かしていないので、法人税の圧縮にはなりません。そこが第3位の理由です。

第2位:中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)

ここからが法人の出番です。

中小企業倒産防止共済は、会社のお金で月20万円まで積み立てられ、その全額が損金算入されます。年間にすると240万円。法人税率が34%(法人税+地方税の実効税率)なら、それだけで約82万円の節税効果があります。

iDeCoや小規模企業共済と決定的に違うのは、個人ではなく法人で積み立てるという点です。社長の所得税を減らすのではなく、会社の利益そのものを圧縮できるので、高収益な法人には特に効果が大きくなります。

注意点が一つあります。40ヶ月未満で解約すると元本割れになるため、「決算が良かった年だけ使おう」という使い方には向きません。継続的に利益が出ている会社向けの制度です。

第1位:法人不動産×役員退職金の合わせ技

税負担を最も大きく変えるのが、この組み合わせです。

仕組みを簡単に説明すると、まず法人で不動産を購入します。建物部分は減価償却費として毎年損金に算入できるので、在任中の法人課税所得をコンスタントに圧縮し続けられます。

そして社長が引退するタイミングで、その不動産を活用しながら役員退職金を受け取ります。退職金には退職所得控除という強力な特典があり、勤続年数が長ければ長いほど控除額が大きくなります。さらに退職所得は課税対象となる金額が通常の半分に圧縮されるため、同じ金額でも給与で受け取るより税負担が大幅に低くなります。

在任中の法人税の圧縮と、退職時の個人所得税の圧縮を同時に設計できる——この「二段構え」が、他の手段と一線を画す理由です。

ただし、この手法は設計が複雑で、物件の選定・ローンの組み方・退職金の適正額など、細かな条件が絡み合います。独断で動くと思わぬ税務リスクを抱えることもあるので、実行前に必ず税理士と一緒に設計することをおすすめします。

優先順位が大事です

この3つを比べると、同じ「節税しながら積み立てる」行動でも、どの器を使うかで効果がまったく違うことがわかります。

よく見かけるのが、個人でNISAや株式投資を一生懸命やっている社長が、実は法人側でできる倒産防止共済も小規模企業共済も何も使っていない、というケースです。順番が逆で、本来の節税効果の何分の一しか享受できていません。

使える制度を優先順位通りに積み上げていくこと——それだけで、同じキャッシュアウトでも手元に残るお金が数百万円変わってきます。

決算が近い方は、今期の利益額と照らし合わせながら、まず倒産防止共済と小規模企業共済の残枠から確認してみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。