先日、年商3億円の建設業の社長から、こんな一言をもらいました。「うちの顧問税理士、保険の話を一切してくれないんだよね」。
それを聞いて、少し胸が痛くなりました。保険を使った節税設計を知っているかどうかで、年間の手残りが数百万円変わることがあるからです。
今回は、社長に使ってほしい節税保険のベスト3をお伝えします。単品でも効果はありますが、組み合わせると年200万円超の節税も十分に狙えます。
3位:養老保険ハーフタクス|保険料の半分を損金に落とす
養老保険の「ハーフタクス」プランは、保険料の半分を会社の損金に算入できる設計です。
たとえば年間の保険料が200万円なら、損金に算入できるのは100万円。実効税率を34%とすると、それだけで年34万円の節税になります。
さらに魅力的なのは「出口設計」です。満期保険金を社長の退職時に受け取る形にしておくと、課税のタイミングを引退後に先送りできます。退職所得には優遇税率が適用されるため、受け取り時の税負担も抑えられるのです。
保険本来の保障機能もあわせて持てるため、「節税しながら万が一の備えも」という一石二鳥の設計が可能です。
2位:長期平準定期保険|解約返戻金を退職金と相殺する
法人保険の中でも、長く使われてきた定番が長期平準定期保険です。
2019年の税制改正以降、損金算入できる割合は最高解約返戻率によって変わります。返戻率が70〜85%なら保険料の40%、85%超なら60%が損金算入の対象です。この保険の真骨頂は、損金割合よりも「出口のタイミング設計」にあります。
解約して返戻金を受け取る時期を、社長の退職金支払いと同じ事業年度にぶつけるのが王道です。退職金は損金として大きく計上できるため、解約返戻金の益金と相殺することで、実質的な課税をほぼゼロに近づけられることがあります。
長期で見た資金の蓄積効果と節税の組み合わせとして、依然として強力な選択肢です。
1位:小規模企業共済|社長個人が使える最強の節税制度
順位をつけるなら、ダントツの1位は小規模企業共済です。
これは会社の制度ではなく、社長「個人」が加入する共済制度です。掛金は月最大7万円、年間84万円まで積み立てられ、その全額が所得控除の対象になります。
社長の役員報酬が高いほど、節税効果も大きくなります。所得税率が33%の社長なら、年84万円の掛金で約28万円の節税。住民税もあわせれば、年間40万円前後の節税になることもあります。
そして最大のポイントは引退時の受け取り方です。解約時には「退職所得」として扱われるため、長年積み立てた資産を受け取る際も税負担が大幅に軽減されます。「積み立てながら節税、受け取っても節税」という設計が完成するのです。
3つを組み合わせると、年200万超が現実になる
それぞれ単品でも効果は出ますが、3つを組み合わせると節税効果が一段と高まります。
小規模企業共済だけで年間33〜40万円の節税。養老保険ハーフタクスで年34万円。長期平準定期保険をあわせると、設計次第で年200万円超も十分に現実的な数字になります。会社の規模や役員報酬の水準によって効果は変わりますが、何も対策していない状態との差は歴然です。
出口まで設計するのが、本当の節税
保険を使った節税で見落としがちなのが「出口」です。保険料を損金に落とすことだけを考えると、解約時や受け取り時に想定外の課税が発生することがあります。
加入時点から、何年後にどのように受け取るかまで、キャッシュフローを含めて設計することが大切です。
まだ節税保険を活用していない社長は、まず小規模企業共済から始めるのがおすすめです。個人加入・全額控除と始めるハードルが低く、効果は決算のたびに確実に出ます。今期の申告に間に合わせるなら、早めに動くのが得策です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。