先日、顧問先の社長から「まだ法人保険で節税できますよね?」という電話がかかってきました。

聞けば、知り合いの保険営業から「今なら全額損金になりますよ」と勧められているとのこと。正直、困りました。その手法、2019年に終わっているんです。

こういった「すでに終わった節税」を信じたまま動いてしまう社長が、2026年の今も一定数いらっしゃいます。知らないまま契約すれば、期待した節税効果は得られず、後から「話が違う」となるケースも少なくありません。

今日は、「やろうと思っていたのに、気づいたら手遅れだった」という節税スキームを3つ、ランキング形式で整理します。知っておくだけで、数百万円単位のミスを防げるかもしれません。

第3位:法人保険の「全額損金算入」

「法人保険で節税」は、かつて経営者の定番テクニックでした。保険料を全額または9割損金に算入し、解約返戻金で退職金を用意するという手法です。

ところが2019年、国税庁の通達改正によりこの仕組みは根本から変わりました。解約返戻率が高い商品ほど損金に算入できる割合が制限され、ピーク時返戻率が85%を超える商品は保険料の一部しか損金に落とせなくなっています。

それでも今なお、「全額損金になります」という保険提案が一部で流れています。最近そういった話を受けたなら、まず税理士に現在の税制と照らし合わせて確認することをお勧めします。「昔に聞いた話だから大丈夫」は危険です。

第2位:インボイス2割特例(2026年9月末終了)

2023年10月のインボイス制度スタート時、免税事業者から課税事業者に転換した方向けに「2割特例」という激変緩和措置が設けられました。受け取った消費税のうち、納税するのは2割だけでよいという、かなり手厚い制度です。

ただし、これは期限付きの措置です。2026年9月30日までの申告分が対象で、以降は本則課税か簡易課税へ完全移行することになります。

ここで注意したいのが、外注先やフリーランスとの取引です。あなたの会社の取引先に免税事業者がいる場合、2026年10月以降は仕入税額控除を受けられなくなるか、相手側のコスト増加が交渉に上がってくる可能性があります。「特例が終わったから単価を上げてほしい」という話が来る前に、今から取引先の状況を確認して対策を練っておくのが賢明です。

第1位:事業承継税制の特例措置(提出期限は2024年3月末で終了)

これが三つの中で、もっとも影響が大きいケースです。

事業承継税制とは、後継者に自社株を贈与・相続する際にかかる税金を猶予してもらえる制度です。2018年にスタートした「特例措置」は、従来に比べて要件が大幅に緩和され、猶予割合が100%。「これで息子に会社を渡せる」と計画されていた経営者も多かったはずです。

ただし、この特例措置を使うには「特例承継計画」という書類を都道府県に提出する必要があり、その提出期限は2024年3月31日でした。すでに終わっています。

この計画書を提出していない場合、今から特例措置の適用を求めることはできません。「うちはまだ先の話」と後回しにしていた社長が、気づいたら締め切りを過ぎていたというパターンが全国で相次いでいます。

特例措置に乗り遅れた場合でも、一般措置は引き続き使えます。ただし猶予割合や適用要件の厳しさは特例措置と大きく異なります。事業承継を少しでも視野に入れているなら、今すぐ専門家に現状確認をすることをお勧めします。

今日から動くべきこと

3つに共通しているのは、「知らないまま動くと後から取り返しがつかない」という点です。

法人保険は契約前に必ず税理士に確認を。インボイスは2026年9月末までに取引先の状況を整理しておく。事業承継は特例措置の期限を過ぎていても、まだ打てる手はあります。

節税は「やろうと思えばいつでもできる」ものではなく、時限付きのチャンスです。今期の決算前に、使える制度を一度棚卸しするタイミングかもしれません。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。