先日、年商10億円を超える製造業の社長から、こんな相談をいただきました。

「毎年しっかり利益を出しているのに、税金で半分以上持っていかれる。引退するころには何が残るんだろうか……」

日々の経費節税にはしっかり取り組んでいても、「出口の設計」を後回しにしている社長はとても多いです。出口とは、役員退任・事業承継・法人解散といったフェーズのこと。ここをどう設計するかで、生涯手取りが2,000万円以上変わることもあります。

ランキング形式で3つの手法をご紹介しますが、どれも「知っているか知らないか」だけで大きな差が出るものばかりです。

第3位:iDeCo(個人型確定拠出年金)

「iDeCoはサラリーマン向けでしょ?」と思っている社長、実はそれは半分誤解です。

厚生年金に加入している役員は国民年金の第2号被保険者に該当し、毎月2.3万円まで拠出できます。そしてこの全額が所得控除になる。たとえば、所得税と住民税の合算税率が40%の社長であれば、年間で約11万円の節税。それを20年続ければ、累計で約165万円の節税効果になります。

さらに受け取り時にも退職所得控除や公的年金等控除が活用できるので、入口と出口の両方で税メリットがある点が優れています。ただし元本保証ではありませんので、リスク資産との配分は慎重に検討してください。

第2位:法人保険を退職金原資に活用するプラン

これは王道の手法ですが、正しく理解して使っている社長と、なんとなく契約している社長では、効果に雲泥の差があります。

仕組みは至ってシンプルです。法人が保険料を支払い、その一部を損金に算入しながら将来の退職金原資を積み立てていきます。役員退任時に解約して受け取った解約返戻金を退職金として支払えば、退職所得控除が使えます。

退職所得控除は勤続年数に応じて非常に手厚く、20年で800万円、それ以降は年70万円ずつ加算されます。つまり、長く社長を続けてきた方ほど恩恵が大きい設計になっている。

注意したいのは、2019年の法令改正で損金算入ルールが厳格化されている点です。ピーク時の返戻率が高い商品ほど、損金算入割合が低くなります。「保険料が全額損金になる」という古い前提は通用しなくなっていますので、必ず最新ルールで試算してもらいましょう。

第1位:資産管理会社での不動産投資

ここが、2,000万円超の節税を現実に生み出せる、最大のポイントです。

個人で不動産を保有すると、給与や事業所得と合算されて最高税率55%(所得税45%+住民税10%)がかかります。一方、資産管理会社(法人)で保有すれば、法人実効税率は最大でも約34%程度。この差は21ポイントにもなります。

仮に年間1,000万円の賃料収入があるとします。個人で受け取れば税引き後の手残りは450万円程度ですが、法人なら660万円程度。年間で約210万円の差が生まれます。これが10年続けば、差額は2,100万円を超えます。

さらに法人であれば、不動産に関連する費用の損金算入もしやすく、売却時の益を他の損失と相殺できる柔軟性も個人より高い。総合的に見て、資産を法人で持つことのメリットは非常に大きいです。

ただし、資産管理会社の設立・維持コスト、法人への移転時にかかる登録免許税や不動産取得税も無視できません。短期視点では損になることもあるので、10〜20年単位の長期試算をしっかり行ってから判断するのが重要です。

3手法の組み合わせが最強の出口設計

iDeCo・法人保険・資産管理会社の3つは、単独でも効果がありますが、組み合わせることで相乗効果が生まれます。iDeCoで個人の所得を圧縮しつつ、法人保険で退職金を積み立て、資産管理会社で賃料収入の課税を最小化する。この三位一体が理想の姿です。

まだ出口設計を考えたことがないという方は、今期中に一度「出口戦略の試算」を税理士に依頼することをおすすめします。「引退まだ先だから」と思っているうちに、取り返せない機会損失が積み上がっていることも少なくありません。早く動き出した分だけ、手元に残るお金が変わってきます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。