先日、工場と倉庫を複数所有している製造業の社長から、こんな言葉を聞きました。

「固定資産税って、役所が決めた金額をそのまま払うしかないと思ってたんですよ」

この一言が、毎年何十万円もの損失につながっているケースがあります。今日お話しするのは、意外と知られていない「固定資産税の評価ミス」という落とし穴です。

役所の評価額は、必ずしも正しくない

固定資産税は、市区町村が算定した「評価額」をもとに計算されます。毎年春に届く納税通知書の金額をそのまま払うのが一般的な流れですが、この評価額に誤りが含まれているケースは決して珍しくありません。

よく見られるのが「建物の劣化が評価に反映されていない」パターンです。築15年、20年が経過した建物でも、役所のデータが更新されず、実態よりかなり高い評価額のままになっていることがあります。

もうひとつが「床面積の計算ミス」。増改築を行った際に申告漏れや測定誤差が生じ、実際より広い面積で課税されているケースです。こうした誤りが積み重なると、年間50万円以上の過払いが起きることもあります。

申出ひとつで年50万円、3年で150万円の差

冒頭の社長の話に戻りましょう。「高いな」と感じながらも払い続けていた固定資産税を、固定資産評価の専門家に見てもらったところ、建物の経年劣化が一切反映されておらず、さらに倉庫の登録面積が実測より10坪以上多いことが判明しました。

「固定資産評価審査申出」という手続きを経て評価額が修正された結果、年間の固定資産税が約50万円減少しました。3年分に換算すると、差額は150万円です。

「こんな制度があるとは知らなかった」というのが、その社長の率直な感想でした。

期限は「納税通知書が届いてから3か月以内」

この申出には期限があります。納税通知書が届いてから3か月以内という時間制限です。通知が届いてから「そのうち確認しよう」と後回しにしていると、あっという間に期限が過ぎてしまいます。

さらに押さえておきたいのが「評価替え年度」のタイミングです。固定資産の評価額は3年ごとに見直されます。この評価替えの年に申出が認められれば、修正後の評価額が次の3年間適用されるため、長期間にわたって節税効果が続きます。評価替えの年は、最大のチャンスです。

評価ミスを疑うべき3つのサイン

自社の固定資産税を見直す際、以下の点を確認してみてください。

  • 築年数のわりに評価額が下がっていない:20年以上経過した建物なのに評価額がほぼ変わっていない場合は要注意です
  • 増改築の履歴がある:工事後に役所への申告が漏れていたり、測定誤差が残っていたりするケースがあります
  • 複数の不動産を所有している:棟数が多いほど誤りが蓄積しやすく、過払い額も大きくなりがちです

これらを自分で判断するのは難しいため、固定資産評価に詳しい専門家や税理士に相談するのが確実です。

「役所が決めたことだから正しい」は思い込み

固定資産税は、売上が落ちても赤字になっても毎年必ずかかるコストです。だからこそ、一度評価額の適正さを確認するだけで、長期間にわたる節税効果が生まれます。

次に納税通知書が届いたら、「3か月以内」という期限を意識しながら、専門家に一度見せてみることをおすすめします。何十年も払い続けてきた税金に、見直せる余地が残っているかもしれません。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。