先日、10年来の付き合いがある建設業の社長から、こんな言葉が出てきました。

「自動車税って、ずっと個人で払うものだと思ってました」

年商2億円を超える会社を経営するその社長が、毎年5万円以上の自動車税を個人口座から10年間払い続けていた。顧問税理士から指摘されて初めて気づいたそうです。決して珍しい話ではありません。

5月の納付書、何も考えずに払っていませんか?

毎年5月になると、ほぼすべての車のオーナーに自動車税の納付書が届きます。排気量によって金額は異なりますが、一般的な乗用車で3万〜5万円、高排気量の車であれば8万円を超えることも。

多くの社長がこれを「個人の支払い」として処理してきましたが、実はここに大きな見直しポイントが潜んでいます。

法人名義でなくても「経費」にできる

経費化のポイントは業務使用の実態です。

車が法人名義であれば話は早いですが、個人名義であっても「実際に事業で使っている」という実態があれば、業務使用割合に応じて法人の損金に計上できます。

たとえば、週5日のうち4日は取引先への訪問や営業活動に使い、週末だけ家族でドライブに使うようなケース。この場合「業務使用8割」という根拠が十分成り立ちます。

8割を業務使用とすると、5万円の自動車税のうち4万円が経費計上の対象です。法人実効税率が約34%(所得800万円超の中小企業の場合)なら、これだけで約1.4万円の節税効果になります。

車の経費は「自動車税だけ」じゃない

ここで重要なのが、同じ業務使用割合を、車に関わるすべての費用に適用できるという点です。

  • ガソリン代:月1〜3万円なら年間12〜36万円の8割
  • 自動車保険料:車両保険込みなら年間15〜25万円程度の8割
  • 駐車場代:月2〜5万円なら年間24〜60万円の8割
  • 車検・修理費:まとまった費用も同割合で按分

これらを合算すると、年間で数十万円単位の費用が経費化の対象になります。自動車税の節税だけでも十分お得ですが、トータルで見るとその差は相当大きくなります。

「実態の記録」がすべてを左右する

ただし、ここには絶対に外せない条件があります。

業務使用の実態を記録で証明できることです。

走行記録や業務日誌がなければ、8割という割合は根拠のない数字になってしまいます。税務調査が入ったとき、「業務で使っています」という口頭の説明だけでは通用しません。

実務的には、訪問先・目的・走行距離を記録した走行ログ、月次でまとめた業務使用割合の計算表、業務日誌やカレンダーとの突合——このあたりが最低限必要とされます。記録の方法はシンプルなExcelでも構いませんが、「継続性」が重要です。調査年度分だけ都合よく作ったような書類は意味をなしません。

また、割合の設定は「なんとなく8割」ではなく、実際の使用実態に基づいて設定することが大切です。プライベートでほとんど使わない車なら9割でも成立しますし、逆に週末の家族利用が多い場合は5〜6割が現実的なラインになります。

今月の納付書が届いたら、まず一言聞いてみてください

5月は自動車税の季節。納付書が届いたこのタイミングが、見直しの絶好機です。

「うちの車、法人で使えますか?」——顧問税理士にこの一言を投げかけてみてください。記録の整備方法から適切な業務使用割合の設定まで、具体的なアドバイスをもらえるはずです。

毎年何も考えずに個人口座から払い続けてきた5万円。その大部分が、今年から経費に変わるかもしれません。まだ車の経費化を検討したことがないなら、今期中に実態の記録をスタートさせるのがおすすめです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。