「うちの車、経費で落としてますよ」という社長は多いのですが、その処理、本当に正しくできていますか?
先日、顧問先の社長からこんな話を聞きました。「3年前に個人名義のレクサスを買って、会社の経費で落としてたんだけど、税務調査で全部引っかかった」と。結果、加算税込みで200万円以上の追徴を受けたそうです。
車の経費処理は「なんとなくやっている」会社がとても多い領域です。でも、正しくやれば年間30万〜50万円の節税効果が期待できる、れっきとした節税策でもあります。
法人名義の社用車に計上できる「4つの経費」
まず結論からお伝えします。法人名義で購入した社用車は、以下の費用がすべて損金算入できます。
- 車両本体代(減価償却費として)
- 自動車税・重量税
- 自動車保険料(任意保険含む)
- ガソリン代・駐車場代・高速代
たとえばレクサスRXを法人で購入した場合、車両代の減価償却費だけで年間50〜60万円。そこに税金・保険・燃料費を合算すると、年間100万円を超える経費になることも珍しくありません。
実効税率が約30%だとすると、100万円の経費で年間30万円の税負担軽減になります。毎年これが積み上がると、5年で150万円の差が生まれます。車一台分の節税効果、と考えると相当な金額ですよね。
「按分」を正しく理解する
ただし、注意点があります。社用車とはいえ、休日に家族でドライブしていたり、通勤にしか使っていなかったりするケースも多いですよね。
税務上、個人使用の割合が高い場合は業務使用割合で按分する必要があります。たとえば業務使用が70%、私的使用が30%の場合、経費として認められるのは諸費用の70%だけです。残り30%は役員給与扱いになり、追徴のリスクが生まれます。
「業務8割だから大丈夫」と口頭で言っても、税務調査官は納得しません。走行距離を業務日誌で記録しておくのが最もシンプルな対策です。月に1度エクセルで記録するだけで十分なので、まだやっていない方はすぐに始めてください。
個人名義のまま経費処理は「危険地帯」
最もリスクが高いのが、冒頭の社長のケースです。個人名義の車を「会社の業務に使っている」という体で経費を落しているパターン。
会社が個人から車を借りているという体裁であれば、賃借料を経費にすることは一応できます。ただし、相場に見合った金額でなければ否認されますし、減価償却はあくまで個人側の話になるため、法人名義と比べると経費化できる金額が大幅に減ります。
税務調査では「この車、本当に会社の車ですか?」という確認が必ずといっていいほど入ります。個人名義のままなんとなく経費処理しているのは、最も目をつけられやすいパターンのひとつです。
出口戦略まで考えるのが「プロの節税」
社用車の話で見落とされがちなのが、退職時・廃業時の出口処理です。
法人が所有している車は、売却したときに「売却益(簿価と売却価格の差額)」が益金として計上されます。たとえば簿価50万円の車が100万円で売れれば、50万円が課税対象になります。これを見越さずに退職金だけ設計していると、想定外の税負担が生まれることがあります。
退職金を計上するタイミングと車の売却時期を合わせることで、退職金の損金で売却益を相殺できるケースがあります。「社長最後の節税設計」の一部として、社用車の出口も必ず計画に組み込んでおいてください。
次の購入前に確認したい3つのポイント
社用車の節税を正しく活用するために、以下の3点を押さえておきましょう。
- 名義は法人にする:個人名義のまま経費処理するのはリスクが高い
- 走行記録をつける:按分の根拠として業務日誌や走行ログを残す
- 出口まで設計する:売却益の発生タイミングを退職金設計と連動させる
この3点を押さえるだけで、税務調査のリスクを下げながら正しく節税効果を取ることができます。
車の乗り換えや購入を検討しているなら、今がちょうど法人名義への切り替えを考えるタイミングです。走行記録もまだ始めていないなら、今月中にフォーマットを作っておくのをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。