先日、年商5億の不動産業を営む社長から、こんな相談が届きました。
「ふるさと納税、毎年10万円くらいしてるんですが、今年も同じくらいですかね?」
一瞬、言葉に詰まりました。その社長の役員報酬は年収3,000万円クラス。10万円というのは、控除上限額の10分の1にも満たない水準だったからです。
「上限10万円」という思い込みが最大の損失
ふるさと納税の控除上限額は、課税所得に連動して決まります。一般的な会社員で年収500万円なら上限は約6万円、年収1,000万円でも30万円前後。その感覚で「自分の上限もこのくらいだろう」と思い込んでいるオーナー社長は、実は少なくありません。
ところが、役員報酬が3,000万円クラスになると話は全く違います。所得税・住民税の税率が上がる分、ふるさと納税の控除枠も大きく跳ね上がります。年収3,000万円規模のオーナー社長が上限をフルに活用すると、概算で80万〜100万円超になるケースも珍しくないのです。
毎年10万円だけ寄附していた社長は、残りの70〜90万円を「使わなかった控除枠」として丸ごと捨てていたことになります。差額は何もせずに税金として消えるだけです。
6月は試算の絶好タイミング
「でも、年収が確定しないと上限が計算できないんじゃ?」
そう感じる方もいるかもしれませんが、6月は実は絶好のタイミングです。
多くの会社では3月決算・6月定時株主総会のスケジュールで役員報酬を決定します。6月以降は今期の報酬が確定しており、年間所得の見込みが立てやすい。今のうちに顧問税理士に上限額を試算してもらえば、年内を通じて計画的に寄附を進められます。
逆に12月になってから気づいても、あわてて駆け込む形になります。人気の返礼品はすでに品切れになっていることも多く、何より「計画のない寄附」は思わぬ取りこぼしを生みます。
控除上限の計算は「課税所得」がベース
仕組みを簡単に確認しておきましょう。
ふるさと納税の控除上限は、住民税所得割の約20%が目安とされています。ただし各種所得控除(配偶者控除・生命保険料控除など)の影響を受けるため、シミュレーターの数字はあくまで参考値です。役員報酬・配当・不動産所得が混在するオーナー社長のケースでは、実際の上限と大きくズレることもあります。
確実な金額は顧問税理士に確認するのが一番です。過去の確定申告書があれば課税所得はすぐ確認できますし、概算なら15分もあれば試算してもらえるはずです。「聞くのが面倒」と放置している間にも、控除枠は使われないまま年を越えます。
返礼品を「年間計画」で使い切る
上限が分かったら、返礼品の使い道を年間で計画しておきましょう。
上限80〜100万円の枠があれば、食材・旅行・家電・ギフトなど幅広く活用できます。一度に大きな金額を使う必要はなく、毎月コツコツ分割で寄附しながら返礼品を受け取り続ける方法も有効です。
大切なのは、ふるさと納税は「2,000円の自己負担で税金をほぼ全額控除できる」制度だという点です。100万円寄附しても自己負担は2,000円で済みます。裏を返せば、上限まで活用しなかった分は、単純に税金として消えているだけ。これを「もったいない」と思わない社長はいないはずです。
今日やること:税理士に一本電話を
難しい話ではありません。顧問税理士に「今年のふるさと納税の上限はいくらですか?」と聞くだけです。
それだけで、数十万円の差が生まれることがあります。
まだ今年の上限を確認していない社長は、今日のうちに一本連絡してみてください。6月の今が、年間計画を立てる最もいいタイミングです。「なんとなく少額でやっている」状態から、「上限まで使い切る節税手段」に格上げしましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。