先日、ある経営者の方からこんな相談を受けました。「ふるさと納税って上限5万円くらいですよね?今年も少しやっておこうかと思って」。

年商10億、役員報酬5000万円超の社長です。思わず椅子から転げ落ちそうになりました。

上限は5万円どころか、その条件なら200万円を超える可能性があります。毎年何百万円もの「権利」を行使しないまま終わっていたわけです。

ふるさと納税の上限は「役員報酬」で決まる

ふるさと納税の控除上限額は、課税所得に連動しています。

一般的なサラリーマンであれば年収500万円で6万円前後ですが、オーナー社長の場合は話が変わります。役員報酬を3000万円に設定している社長なら、控除上限は130万円を超えてくるのが一般的です。5000万円以上であれば、200万円に達するケースも珍しくありません。

「年5万円しか使っていない」というのは、130万円の予算があるのに5万円しか使わないのと同じです。残りの125万円は、ただ捨てているようなものになります。

返礼品で「60万円分の価値」を実質2000円で手に入れる

上限まで使い切った場合の話をしましょう。

たとえば200万円分のふるさと納税をしたとします。自己負担額は2000円、実質199万8000円の税金が控除されます。そして返礼品は寄付額の30%が目安ですから、200万円分の寄付であれば約60万円相当の品々が手元に届く計算です。

お米、和牛、海鮮、ホテルの宿泊券——自己負担2000円で60万円分が届くわけです。経費にはならないものの、可処分所得を大きく増やす節税効果があります。毎年コンスタントに使えば、10年で600万円分の返礼品が実質タダになる計算です。

「役員報酬の設定次第」で上限が大きく変わる

ここが、多くの社長が見落としているポイントです。

ふるさと納税の上限は所得税・住民税の課税所得をベースに計算されます。つまり、役員報酬の設定額によって上限額が大きく変動するのです。

役員報酬を抑えて会社に利益を残している社長は、上限が思ったより低くなることがあります。一方、報酬を高めに設定している社長は、その分だけ上限も上がります。節税目的で役員報酬を最適化していると、ふるさと納税の上限にも影響が出るわけです。

毎年の役員報酬の改定前に税理士へ「今年のふるさと納税の上限試算をお願いしたい」と一言伝えるだけで、数十万〜数百万円単位の差が生まれることがあります。

今すぐ上限を確認するだけでいい

年末に向けて動き出すと、駆け込みで手続きを慌てることになります。ふるさと納税は年内(12月31日)に寄付を完了する必要があるため、早めに動くのが鉄則です。

手順はシンプルです。今期の役員報酬と所得見込みを確認し、税理士に控除上限額を試算してもらう。そのうえでポータルサイトで返礼品を選んで申し込む。難しい手続きはありません。

まだ今年の上限を確認していない社長は、今すぐ顧問税理士に「ふるさと納税の上限を計算してほしい」と一言伝えてみてください。2000円の自己負担で数十万〜200万円分の価値を得られるこの仕組み、知っていて使わないのは本当にもったいないですよ。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。