先日、こんな話を聞きました。年商10億円を超える不動産会社の社長が、顧問税理士から「今年のふるさと納税、もうやりましたか?」と聞かれて、「あー、毎年面倒くさくてやってないんだよね」と答えたそうです。
その社長の役員報酬は年間5,000万円。
黙って放置した節税額は、実に190万円超です。
収入が高い社長ほど、上限額が跳ね上がる
ふるさと納税の控除上限は、所得が高くなるほど大きくなります。
年収1,000万円の方なら上限は約17万円。年収2,000万円で約55万円。そして年収5,000万円クラスになると、上限は約190〜200万円にまで膨らみます。
この上限まで寄付をしても、実際の自己負担は2,000円だけです。残りはすべて所得税の還付と住民税の控除として戻ってきます。
さらに、寄付額の約3割に相当する返礼品まで受け取れます。仮に200万円を寄付すれば、60万円相当の品物が届く計算です。食品・家電・旅行券など、実用的なラインナップも豊富にあります。
「面倒くさい」のは最初だけ、という現実
社長がふるさと納税を後回しにする理由として、よく耳にするのが「手続きが面倒」という言葉です。
確かに、初めて手続きをするときはセットアップが必要です。ポータルサイトへの登録、マイナンバーカードの準備、寄付先の選定。でも一度やってしまえば、翌年以降は同じサイトから数クリックで完了します。
年間190万円の節税を「面倒くさい」という理由で諦めるのは、経営判断として非常にもったいない。秘書や経理担当に「今年の上限額を調べて、年末までに手続きをしておいて」と一言伝えるだけで済む話です。
年末が近づくほど「今すぐ動く」が正解
ふるさと納税は、その年の1月1日〜12月31日が対象期間です。12月31日23:59までに決済が完了すれば、その年の控除に間に合います。
ただし、年末は人気の返礼品が在庫切れになったり、決済処理が混雑したりしやすい時期です。「12月に入ったらやろう」と思っていると、うっかりタイミングを逃すことがあります。
理想的な動き方は、6〜10月の段階で上限額を確認して返礼品をリストアップしておき、10〜11月に分散して寄付を完了させることです。年末になって慌てるより、ずっとスムーズに進みます。
上限額の計算、「収入だけ」では決まらない
ここで一つ、見落としがちな注意点があります。
ふるさと納税の控除上限は、収入の額だけで決まるわけではありません。配偶者の有無、扶養している子どもの人数、社会保険料の負担額、他の控除の有無——こうした複数の要素によって金額が変わります。
ネット上のシミュレーターで計算した上限額を信じて寄付しすぎた結果、実際の控除が想定より少なかったというケースは珍しくありません。役員報酬が高い方ほど、計算のズレが大きな金額差につながります。
正確な上限額を知りたいなら、昨年の源泉徴収票を手元に用意して、「今年のふるさと納税の上限額を確認したい」と税理士に相談するのが一番確実です。
使わない控除は、税務署へのプレゼント
制度上もらえるはずの控除を使わないのは、余分に税金を払い続けているのと同じことです。節税というと「攻め」のイメージがありますが、ふるさと納税は「もらえるものをきちんともらう」という話に過ぎません。
年収5,000万円の社長が上限額を放置すると、節税分190万円と返礼品60万円相当を合わせて、毎年250万円近い損失になります。これが10年続けば、2,500万円の差です。
まだ今年の手続きが済んでいないなら、今日中に昨年の源泉徴収票を引っ張り出して、税理士か経理担当に上限額の確認を依頼してみてください。年末に焦らないためにも、動くなら今です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。