毎年6月になると、こんな相談が増えます。「住民税の通知が来たんですが、思ったより高くて……何かできることありますか?」
残念ながら、届いた時点では前年分の住民税はもう変えられません。でも実は、この通知書は「来年の税金を変えるための設計図」として活用できます。役員報酬1,000万円の社長なら、住民税だけで約100万円。毎年「高いな」と眺めて終わりにしている社長は、確実に損をしています。
役員報酬の水準、本当に最適ですか?
住民税の所得割は、前年の役員報酬に一律10%かかります。所得税と合わせると、報酬が一定水準を超えると実効税率は30〜40%台になってきます。
この状態で「稼いだ分を全部報酬で取り切る」のは、必ずしも賢い選択ではありません。一定額を超えた分を法人に残し、退職金積立や設備投資に回す判断が、トータルの税負担を下げることがあります。
たとえば、年収1,500万円のオーナー社長が報酬を1,000万円に設定し直したケースでは、所得税・住民税の合計が年間100万円以上変わることもあります。「いくら受け取るか」の設計が、そのまま税負担に直結しているのです。
「今の報酬水準、最後に見直したのはいつですか?」という問いかけを、通知書を見た今日やってみてください。
配当の申告方法、去年と同じで大丈夫ですか?
法人から配当を受け取っている社長は、確定申告で「申告分離課税」と「総合課税」のどちらで申告するかを選べます。一見小さな選択に思えますが、住民税の計算に直接影響してきます。
申告分離課税なら税率は一律20.315%、総合課税なら他の所得と合算されるため、所得水準や配当額によってどちらが有利かが変わります。一般的に課税所得が高いほど申告分離課税が有利になりやすいですが、不動産収入や各種控除の状況によっても変わります。
「毎年なんとなく同じ方法でやっている」という社長は要注意です。役員報酬を変更した年、不動産収入が増えた年など、状況が変わったタイミングで再計算しないと、数十万円単位の見えない損が積み重なっていることがあります。
役員報酬の変更、今月が最後のチャンスかもしれません
これが最も見落とされやすく、かつ最も重要なポイントです。
役員報酬は、法人税法の「定期同額給与」ルールにより、事業年度開始から3ヶ月以内にしか変更できません。3月決算の会社なら6月末、9月決算なら12月末が期限です。
6月に住民税通知書が届くタイミングは、多くの会社でこの「変更できる最後の窓」と重なっています。通知書を見て「来年こそ何とかしよう」と思いながらタイムリミットが過ぎてしまう——これが典型的な失敗パターンです。
通知書を手に取ったら、まず「自社の事業年度はいつ始まるか」「報酬変更の期限はいつか」を確認してください。期限が迫っているなら、今週中に税理士へ連絡するのが正解です。
6月の住民税通知書は、ただの請求書ではありません。正しく読めば、来年の税負担を変えるための「アクションシート」になります。届いたらすぐ捨てず、この3点を確認した上で顧問税理士に一本連絡してみてください。その電話が、来年届く通知書の数字を大きく変えることになるかもしれません。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。