先日、知人の経営者からこんな連絡が来ました。「固定資産税の納付書が届いたんだけど、今年も150万円近くて……何か手はないかな」という相談でした。
その方は東京近郊に自社ビルと更地を数か所持っている、年商10億ほどの建設業の社長です。決して経営が苦しいわけではないのですが、何も手を打たずに税金を払い続けることへの「もやもや感」がある、とおっしゃっていました。
この感覚、よくわかります。固定資産税は毎年確実に来る。しかも不動産を持ち続ける限り、一生続く。そのわりに、きちんと対策を打っている社長は意外と少ないのです。
遊ばせている土地があるなら、まず「6分の1ルール」を知っておきたい
固定資産税には、あまり知られていない特例があります。「小規模住宅用地の特例」というもので、土地に賃貸住宅を建てると、200㎡までの部分について課税標準が最大6分の1になる制度です。
たとえば、年間120万円の固定資産税がかかっている更地があったとします。そこに賃貸アパートを建てると、計算上は固定資産税が20万円程度にまで下がる可能性があります。差額は年間100万円。10年で1,000万円です。
「賃貸アパートを建てるなんてリスクがある」と感じる方もいるかもしれません。でも、節税効果と家賃収入の両面から試算してみると、意外と「やらないほうが損」という結論になるケースが多いんです。特に地価がそこそこ高いエリアの更地なら、試算してみる価値は十分あります。
法人移転で「固定資産税×相続税」の二重圧縮を狙う
次の手が、不動産の法人移転です。
個人で持っている不動産を自社(または資産管理法人)に移すことで、固定資産税の評価と相続税評価額を同時に引き下げることができます。
特に、相続を視野に入れている経営者にとって、この「二重圧縮」の効果は見逃せません。固定資産税は毎年の出費、相続税は将来の一括出費。どちらも不動産評価額が高いほど増えていく構造なので、評価額を下げることで両方にメリットが出てきます。
ただし、法人移転には不動産取得税や登録免許税がかかります。移転コストと将来の節税効果をきちんと試算した上で判断することが大切です。「節税になると聞いたから移転した」だけでは、トータルで損をすることもあります。
売るタイミングも「戦略」です
売却するつもりがある土地なら、売るタイミングを意識するだけで税負担が大きく変わります。
不動産売却益にかかる税率は、保有期間によって異なります。5年超なら長期譲渡所得として約20%、5年以下なら短期譲渡所得として約39%。この差は実に倍近い。
「そろそろ売ろうかな」というタイミングで、あと数か月待てば5年を超える——というケースは実際によくあります。少しの待機で税金が数百万円変わることも珍しくありません。売るつもりなら、まず保有期間を確認するところから始めてください。
組み合わせで「年間3割以上削減」も現実的
ここまで紹介した3つの手法——賃貸住宅建設による課税標準の圧縮、法人移転による固定資産税と相続税の二重圧縮、売却タイミングの最適化による譲渡所得税の軽減——を組み合わせることで、年間の税負担が3割以上下がったケースは実際にあります。
ただし、どの手法が効くかは物件の種別・規模・立地・保有形態によって大きく変わります。「うちも同じようにできる」と短絡的に判断するのは禁物です。
まず、自分が持っている不動産の現状を棚卸しするところから始めてみてください。「遊ばせている土地はないか」「法人に移転できそうなものはないか」「近いうちに売る予定のものはないか」。この3つを確認するだけで、見えてくるものがあるはずです。
固定資産税の納付書が届いたこのタイミングこそ、不動産戦略を見直す絶好の機会です。払いながら「高いな」と感じているなら、そのもやもや感を専門家にぶつけてみることを強くおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。