ある製造業の社長(年商4億円)から、こんな相談を受けました。
「税務調査が入ることになったんですが、正直どこを整備しておけばいいか…」
毎年数千社の申告に目を通している調査官には、決まった「型」があります。訪問して最初の30分、特定の書類を見るだけで、申告の信頼度をほぼ判断してしまうんです。
実は、税務調査を受けた法人の6割超で何らかの申告修正が求められています。調査が入った会社の3社に2社は指摘を受けているということ。他人事ではありません。
では、調査官が最初に何を見るのか。今日はその3つの書類を、ランキング形式でお伝えします。
第3位:飲食費の「領収書の摘要欄」
まず押さえておきたいのが、飲食費の領収書です。レシートや領収書を大量に保管していても、摘要欄の記載が不十分だと、一発で否認の対象になります。
税務上、飲食費を経費として認めてもらうには、①日付、②相手の氏名・会社名・関係性、③参加人数、④金額と店名、⑤接待や商談などの目的、この5項目の記載が必要です。
これが揃っていない場合、1人あたり1万円の飲食費を損金算入できる「1万円ルール」も適用外になります。「領収書は全部保管しています」という社長ほど要注意で、中身の記載が薄いことが多いんです。
対策はシンプルです。飲食後すぐにスマホでメモするか、経費精算システムに登録する習慣をつけるだけで、調査リスクは格段に下がります。
第2位:外注費・コンサル費の「契約書」
次に調査官が目を向けるのが、外注費やコンサルティング費用の契約書です。
振込記録や請求書だけでは、「本当に仕事をしてもらったか」を証明できません。特に厳しく見られるのが、家族や知人への支払いです。血縁や旧知の間柄だと、実態のない架空経費を疑われやすいんです。
ここで必要なのは、「誰が・何を・いくらで・いつまでに」を明記した業務委託契約書です。さらに成果物や報告書があれば、業務実態の裏付けになります。
「口頭で頼んでいた」「メールでやり取りしたから大丈夫」という感覚は危険です。調査官は「書面で証明できますか?」と聞いてきます。毎月50万円をコンサルに払っていても、契約書が一枚もなければ年間600万円の外注費全額が否認される可能性があります。「ちゃんと払っているんだから経費のはず」では通らないのが税務の世界です。
第1位:役員報酬・退職金の「株主総会議事録」
そして調査官が最も重点的に確認するのが、役員報酬や役員退職金にまつわる議事録です。
役員報酬を損金として認めてもらうには、「定期同額給与」か「事前確定届出給与」のどちらかの要件を満たす必要があります。事前確定届出給与の場合、届出書と株主総会議事録がセットでなければなりません。片方だけでは損金不算入、つまり経費として認められないんです。
役員退職金も同様です。退職の事実・支給決議・金額の根拠がそれぞれ書類で確認できないと、「過大な退職給与」として否認対象になります。
議事録は「形式的に作ればいい」と思われがちですが、日付・出席者・決議内容が曖昧なものは調査で突かれます。報酬変更のタイミングや決算前に、必ずきちんとした議事録を作成・保管しておいてください。
今すぐ確認してほしい3点
この記事を読んだ今日のうちに、以下の3点を確認してみてください。
- 飲食費の領収書:摘要欄の5項目が揃っているか
- 外注費・コンサル費:契約書と成果物(報告書)が保管されているか
- 役員報酬・退職金:議事録と届出書がセットで保管されているか
税務調査は「悪いことをした会社だけ」に来るわけではありません。売上規模が上がったタイミングや業種によって選定されることもあり、ランダムな要素もあります。だからこそ、「調査が来ても問題ない状態」を日常から作っておくことが大切です。
今期中に一度、顧問税理士と書類の整備状況を見直しておくことを強くおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。