先日、製造業を営む社長からこんな話を聞きました。「今期は久しぶりに利益が出てさ、でも報酬は変えてないんだよね」と。聞けば、設立から7年間、一度も役員報酬を変えていないとのこと。
利益が出るたびに法人税が発生し続け、その積み重ねが相当な金額になっていました。「もっと早く相談してくれれば」と思わずにはいられない、よくあるケースです。
役員報酬の見直しは、「いつかやろう」では手遅れになります。今回は、今すぐ動くべき社長のタイプを3つご紹介します。
3位:設立以来、一度も報酬を変えていない社長
創業期に報酬を低く設定するのは合理的な判断です。資金繰りが読めないうちは、手元にキャッシュを残しておきたいですから。
ただ、その設定を会社が成長しても変えないのは別の話です。法人に利益が残れば、実効税率30〜35%前後の法人税がかかります。一方、役員報酬として支払えば損金に算入でき、法人の課税所得を減らすことができます。
所得税・社会保険とのバランスを試算したうえで最適な金額を設計すれば、会社と個人のトータルの税負担を抑えられる余地があります。「ずっとこの金額でやってきたから」という惰性での据え置きは、毎年コストを払い続けているのと同じです。
2位:今期は利益が出ているのに報酬を増やしていない社長
「今期は調子がいい」という状況なのに、決算をそのまま迎えようとしている社長も要注意です。
たとえば月10万円の報酬増額を検討したとします。年間では120万円の経費増加です。法人の実効税率が34%であれば、概算で年間約40万円の節税効果が生まれる計算になります。
ただし、いくら増やすのが最適かは、個人の所得水準や社会保険料の兼ね合いで大きく変わります。「とにかく上げればいい」わけではなく、個別の試算が欠かせません。「決算前に急いでなんとかしたい」という相談は毎年たくさんいただきますが、タイミングによっては対応できないこともあります。
1位:期首から3ヶ月が迫っているのに、まだ何もしていない社長
これが最も緊急度の高いケースです。
役員報酬を損金として認めてもらうには、「定期同額給与」の要件を満たす必要があります。この改定ができるのは、原則として事業年度が始まってから3ヶ月以内の期間だけです。
この期限を過ぎてから期中に報酬を増額してしまうと、増額分が損金として認められません。社長個人には報酬として支払ったのに、会社の税金は減らない——という最悪のパターンになります。
3月決算の会社であれば、改定できる窓は4〜6月。「来月でいいか」と後回しにしているうちに、あっという間に期限が来ます。
動く前に確認しておきたいこと
税理士に相談する前に、以下の3点を手元に用意しておくとスムーズです。
- 現在の役員報酬の金額と、最後に変更した時期
- 今期の利益予測(試算表があれば理想的)
- 事業年度の開始月と、現時点での経過期間
「決算が終わってから考えよう」という発想では、ほとんどのケースで間に合いません。役員報酬の設計は、会社と個人のお金の流れを整える、もっとも基本的な節税手段のひとつ。まだ見直しをしていないなら、今期の決算前に一度、税理士に相談してみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。