先日、年商3億ほどの建設業の社長から、こんな相談を受けました。「2026年の税制改正って、うちに関係ありますか?」と。関係ある、どころの話ではありません。知っているかどうかで、最大450万円以上の差が生まれる可能性があります。
難しい節税スキームの話ではありません。国が中小企業のために用意した制度を、ちゃんと使いこなせているかどうか——その違いだけです。今回は、今期から使える節税策をインパクトの大きい順にご紹介します。
3位 接待の上限が5,000円から1万円に。使いやすくなった交際費ルール
少し前の話になりますが、2024年4月から交際費の扱いが変わっています。以前は、飲食費として全額経費に計上できる上限が「1人あたり5,000円以下」でした。それが、1万円以下まで引き上げられたのです。
シンプルに言えば、上限が倍になりました。5,000円では少し物足りなかった接待のランチや軽めのビジネスディナーが、経費として計上しやすくなっています。都内の少し良いレストランでの昼食なら、ほぼカバーできる金額です。
ただし、飲食した年月日、相手の会社名・氏名・人数、飲食店の名称と所在地、支払った金額——この4点の記録が必要です。領収書さえきちんと整理しておけば対応できる話なので、接待が多い業種の方はあらためて確認してみてください。
2位 30万円未満の備品は今期中に買うだけで節税になる
これは知っている社長も多いですが、まだ十分に活用できていないケースをよく見かけます。通常、設備や備品を購入した場合は減価償却といって、耐用年数に応じて少しずつ経費に計上していきます。パソコンなら4年、机や椅子なら5〜8年……という具合です。
ところが「中小企業者等の少額減価償却資産の特例」を使うと、30万円未満のものなら購入した年度にまるごと経費化できます。年間の上限は300万円まで。
たとえば、1台25万円のノートパソコンを12台購入したとします。それだけで300万円分が今期の経費になります。実効税率を30%と仮定すると、この一手だけで90万円の節税効果です。「決算前に何か経費を使えるものはないか」と考えるなら、業務で本当に必要な備品を計画的に前倒しで揃えるのが一番シンプルで効果的です。
なお、適用できるのは青色申告をしている中小企業者(資本金1億円以下など要件あり)に限られます。自社が該当するかどうか、一度確認しておくと安心です。
1位 賃上げするなら使わない手はない。法人税を直接削れる賃上げ促進税制
ここ数年で最も「知っているかどうかで差がつく」と感じているのが、賃上げ促進税制です。
仕組みを一言で言うと、「前年より給与総額を増やした場合、その増加分の一定割合を法人税から直接差し引ける」というものです。経費として落とすより節税効果が高い理由は、税額控除は利益ではなく税金そのものを減らせるからです。
前年比で1.5%以上の賃上げを実施すると、給与増加額の最大45%が法人税額から控除されます。わかりやすい例でいうと、年間の給与総額を1,000万円増やした場合、最大450万円が法人税から直接引かれる計算です。節税のインパクトとして、かなり大きい部類に入ります。
「もともと賃上げするつもりだった」という社長にとっては、ほぼノーコストで450万円の節税が実現します。逆に言えば、賃上げを実施していながらこの制度を申告で使っていないとしたら、大きな機会損失です。「うちで賃上げ促進税制は使えますか?」——この一言を顧問税理士に聞くだけで、次の打ち手が動き始めます。
今期の決算まで時間がある社長は、ぜひ今日にでも顧問税理士に「この3つ、全部使えていますか?」と確認してみてください。
特別な節税スキームでも、グレーゾーンの話でもありません。今回ご紹介した3つはすべて、国が中小企業向けに正式に用意した制度です。それを使いこなすかどうかが、決算書に数十万〜数百万円単位の差として現れてきます。制度は毎年少しずつ変わります。年に一度、改正内容を確認して顧問税理士と一緒に打ち手を見直す習慣をつけておくのがおすすめです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。