先日、顧問先の製造業の社長から、こんなLINEが届きました。
「先生、うちの会社、まだセーフティ共済を毎年解約して再加入してるんですけど、問題ないですよね?」
正直、ヒヤッとしました。その会社は何年もこのパターンで節税していましたが、2024年10月にルールが変わっていたのです。
「節税スキーム」という言葉はよく耳にすると思います。ところが、ここ数年で「使えた節税」が次々と封じられています。今回は2026年4月時点で完全に使えなくなった節税スキームをTOP3形式でまとめました。
第3位:タワマンを使った相続税の圧縮
かつてタワーマンションを使った相続税対策は、富裕層の間で広く知られた手法でした。時価3億円の高層階住戸でも、相続税評価額は3,000万円程度に圧縮できる——そんな時代が長く続いていました。
ところが、2024年1月以降に発生した相続からルールが変わりました。国税庁が「評価乖離率」という新指標を導入し、市場価格と評価額の乖離が大きすぎる場合には評価額を引き上げる仕組みになったのです。
時価の60%を大きく下回るような評価額は否認リスクがあります。時価3億円の物件を10分の1以下で評価していた旧来のスキームは、もう通用しません。
また、同じ発想を自社株評価の引き下げに転用しようとする動きも見られますが、こちらも税務調査で問題視されるケースが増えています。「節税効果が大きすぎる」と感じたら、まず疑うべき時代になりました。
第2位:全額損金算入できる節税保険
「退職金の積み立てにもなって、全額損金に落とせる」——そんな保険商品を覚えているでしょうか。
2019年以前は、一定の条件を満たす生命保険の保険料を全額損金算入できるスキームが広く使われていました。特に中小企業オーナーの退職金準備として、顧問税理士から提案されることも珍しくありませんでした。
2019年に国税庁が通達を改正し、このスキームは事実上終了しています。現在では「全額損金」で契約できる商品はほぼ存在せず、損金算入には細かい条件が課されています。
問題なのは、2019年より前に契約した旧来の保険を今も継続している会社です。「旧ルールのもとで契約したから問題ない」と思っていると、税務調査で追徴課税されるリスクがあります。古い保険契約を抱えている場合は、今一度、顧問税理士と内容を確認してください。
第1位:経営セーフティ共済の短期解約ループ
TOP1は、多くの中小企業が活用してきた「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」の抜け穴です。
本来この制度は、取引先の倒産時に資金を借り入れるための共済です。ところが、「毎月20万円積み立て→1年後に解約して全額回収→すぐ再加入→また積み立て」というループを繰り返すことで、年間最大240万円を損金に算入できる節税手法として広まっていました。
これが2024年10月から変わりました。解約後に再加入した場合、再加入から2年間は掛金を損金算入できなくなったのです。
解約→再加入を繰り返す抜け穴は完全に封鎖されました。今もこのスキームを続けている会社は、損金算入が認められない可能性があります。「昔からやっているから」という感覚のまま続けているのが、一番危険なパターンです。
「知らなかった」では済まされない時代
税務当局は、制度の趣旨から外れた節税スキームに対して、年々厳しい姿勢をとっています。今回ご紹介した3つは、「かつては合法だったが今は否認リスクがある」という性質のものばかりです。
過去に実施していた節税を今も継続しているなら、ぜひ一度棚卸ししてみてください。決算期が近い方は特に急いで確認を。今期の損金算入が否認されると、思わぬ税負担が生じることになります。
顧問税理士との定期的な見直しが、結局のところ一番確実な節税対策です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。