先日、年商3億円の不動産オーナーの社長からこんな相談がありました。「今さら資産管理会社なんて、ちょっとやりすぎじゃないですか?」

正直に言うと、その方はすでに5年間で数千万円単位の節税機会を逃していました。決してやりすぎなんかではない。むしろ、知らないほうが損をしているのが現実です。

個人と法人、税率差は「20ポイント以上」ある

所得が増えると、個人の所得税は段階的に上がっていきます。住民税と合わせると、最高で55%。稼いだお金の半分以上が税金に消える計算です。

一方、法人実効税率は約34%以下。中小法人であれば、さらに低くなるケースも珍しくありません。

この差が、資産管理会社の節税効果の根幹です。毎年3,000万円の所得があるとすれば、税率差だけで年間数百万円が手元に残る計算になります。

家族に役員報酬を払うと、何が起きるのか

資産管理会社の活用法として、まず注目してほしいのが「所得の分散」です。

奥様やお子様を役員に就任させ、役員報酬を支払うことで、家族全体での税負担を大きく下げることができます。1人に集中していた課税を複数人に分ける。それだけで、年100万円単位の節税は現実的な話です。

たとえば、社長個人に3,000万円の所得があったとします。これを奥様に500万円、お子様に300万円分散したとすると、それぞれに適用される税率が下がります。さらに、奥様やお子様それぞれに給与所得控除が適用されるので、課税所得そのものも小さくなります。

ただし、役員として実際に仕事をしていることが前提です。形式だけでは税務調査の際に問題になりますので、実態を伴う報酬設定が大切です。

株の売却益は、「持ち方」で税率が変わる

上場株式の売却益を個人で受け取ると、税率は20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税の合計)です。一見低く見えますが、法人を経由すると話が変わります。

資産管理会社で株を保有し、売却益を法人の内部留保として積み立てれば、課税タイミングをコントロールできます。そのお金を将来の退職金の原資にすることで、退職所得控除という大きな控除を活用できるのです。

退職金は「(勤続年数×40万円)×2」の金額まで非課税。勤続20年なら1,600万円、勤続30年なら2,400万円が丸ごと非課税になります。現役時代に法人内で積み立て、引退時に退職金として受け取る——この流れが、節税効果を最大化する王道パターンです。

生涯5,000万円の差は、どこから来るのか

数字で整理してみましょう。

  • 所得分散と法人税率適用による節税: 年間100〜200万円
  • 20年間の累計: 2,000〜4,000万円
  • 退職金・相続対策との組み合わせ効果: さらに 1,000〜2,000万円

合計すると、生涯5,000万円超という数字は決して大げさではありません。年齢が若いほど、この差は大きくなります。50代から始めても十分な効果がありますが、40代のうちに設計しておくと、選択肢がぐっと広がります。

「将来考えよう」では遅い

資産管理会社の設立には、費用と時間がかかります。定款の作成、登記、税務署への届出など、手続きだけで1〜2ヶ月。設立してすぐに大きな節税効果が出るわけではなく、数年かけて積み上げていくものです。

だからこそ、「必要になってから考えよう」では遅いのです。節税の恩恵を受けられる期間が短くなるほど、生涯での差は縮んでいきます。

「資産管理会社はある程度の資産がある富裕層だけのもの」というイメージを持っている方も多いですが、実際には個人の課税所得が3,000万円前後から検討の余地が出てきます。所得が多ければ多いほど、法人を活用するメリットが大きくなるからです。

まだ資産管理会社を持っていないなら、一度税理士に試算してもらうことをおすすめします。「自分のケースでは効果があるのか」を確認するだけでも、大きな気づきになるはずです。今期が終わる前に、動いておきましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。