5月になると、会社宛に固定資産税の納税通知書が届きます。分厚い封筒を開けて振込票だけ確認し、そのまま支払ってしまっていませんか?
先日、製造業のオーナー社長からこんな相談を受けました。「固定資産税って、毎年ほぼ同じ金額だから確認していなかったんですが、見直せるものなんですか?」
この一言がきっかけで課税明細書を一緒に確認したところ、驚くべき事実が判明しました。
倉庫の地目が「宅地」になっていた
その社長が所有する自社倉庫、課税明細書を見ると地目区分が「宅地」として登録されていました。しかし実際には「雑種地」として扱われるべき土地だったのです。
地目の分類は、固定資産税の評価額に直結します。宅地は路線価方式で評価されるため、雑種地と比べて税負担が重くなるケースがほとんどです。
市区町村の固定資産税担当窓口に申し出たところ、誤りがあっさり認められました。過去5年分の過払い分として約80万円が返還されることになったのです。しかも手続き費用はゼロ。専門家への依頼も不要で、窓口への申し出だけで完結しました。
なぜ課税誤りは起きるのか
固定資産税は市区町村が管理していますが、土地・建物の情報が自動で更新されるわけではありません。登記情報や現地調査の内容が古いまま据え置かれているケースが、思いのほか多いのです。
特に誤りが起きやすいのは次の3点です。
- 地目の区分(宅地・雑種地・農地など、分類ひとつで評価額が大きく変わる)
- 床面積(増改築後に修正申告をしていないと古い数字のまま課税が続く)
- 用途区分(住宅用地の軽減措置が適用されていないケース)
いずれも市区町村が定期的に現地確認をする機会は限られているため、何年も誤ったまま課税が続いていることがあります。特に自社所有の土地・建物が複数ある会社は、一棟ずつ丁寧に確認してみる価値があります。
返還を請求できる期間は最大5年
地方税法では、固定資産税の過誤納金の還付請求は「過払いを知った日から5年以内」とされています。
今年の通知書で誤りを発見できれば、さかのぼって5年分の過払い分を取り戻せる可能性があります。保有する不動産の規模によっては、数十万円から百万円単位になることも珍しくありません。
手続きに費用がかからない点を考えると、確認しない理由がありません。
確認の手順は難しくない
特別なスキルは不要です。
まず、5月に届いた「課税明細書」を手元に用意します。納税通知書と一緒に封入されている、土地・建物ごとの詳細な明細票がそれです。次に、登記簿の記載内容や実際の現況と照らし合わせます。地目、床面積、用途区分に食い違いがないかを確認しましょう。
疑問があれば、市区町村の固定資産税担当窓口に問い合わせるだけです。「課税明細の内容を確認したい」と伝えれば丁寧に対応してもらえます。誤りが認められれば、その場で返還手続きの案内をしてもらえます。
毎年5月が「見直しのチャンス」
固定資産税の通知書は毎年5月前後に届きます。この時期に一度立ち止まって課税明細を見直す習慣をつけることが、長期的には大きな節税につながります。
特に注意が必要なのは、過去に増改築をした物件や、土地の利用目的が変わったケースです。変更後に市区町村への申告が漏れていると、古い情報のまま課税が続いている可能性があります。
今年の通知書がまだ手元にある方は、ぜひ課税明細を開いてみてください。固定資産税に詳しい税理士に相談すれば、見落としやすいポイントをまとめてチェックしてもらうこともできます。支払う前の5分が、数十万円の差になることがあります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。